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新国富指標(Inclusive Wealth)

Measuring progress towards sustainability, beyond GDP

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■ 新国富指標 (Inclusive Wealth)

 新国富指標 (IW: inclusive wealth) は、持続可能性と人類の福祉を測る社会経済指標です。国民総生産 (GDP: gross domestic product) で人類の豊かさを測ることには限界が来ています。GDPの限界を超え、新たな豊かさを表すために、ノーベル経済学賞を受賞したケネス・アローをはじめ、22名の経済学者らが考案したのが、新国富指標です。新国富指標は、持続可能な開発目標 (SDGs) が採択されたことでも知られる「持続可能な開発会議 (リオ+20)」において、国連から公表されました。新国富指標には、①「包括的」な指標、②「持続可能性」の指標、③「投資」の指標という3つの特徴があります。

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■ ①「包括的」な指標

 社会の豊かさを包括的に評価するため、新国富指標は、人工資本 (PC: produced capital), 人的資本 (HC: human capital), 及び 自然資本 (NC: natural capital) の3つの資本で構成されています。従来の指標との違いは、GDPが経済的側面、人間開発指数 (HDI: human development index) が経済的側面と人的側面のみを評価するのに対し、新国富指標は、経済的側面と人的側面に加え、自然の側面を考慮することです。

 人工資本には、設備・機械・道路などがあります。人工資本には、教育と健康があります。自然資本には、化石燃料・鉱物資源・森林・農業があります。

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■ ②「持続可能性」の指標

 新国富指標の増減は、持続可能性を表します。実は、GDPの増減では持続可能性を評価することはできません。それは、GDPが ”フロー” (consumption and investment) を測るのに対し、新国富指標は ”ストック” (productive base) を測るからです。いくら ”生産高” (GDP) が高くても、生産の基盤となる ”資本” (capital) が減耗していれば、持続可能とは言えません。新国富指標は、”ストック”を測るため、持続可能性の指標となる得ます。

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■ ③「投資」の指標

 持続可能性を担保する唯一の手段は投資です。上の図が示すように、投資はストックへの還元を意味します。消費と投資のバランスを上手く取ることにより、持続可能性を担保することができます。新国富指標では、教育や環境保護などの異なる価値を相対化することによって、どの分野にどれほどの投資をすべきなのかを可視化することが可能です。これによって、科学的根拠に基づいた政策の立案や行政の予算配分を実施する手助けとなります。

■ 外部リンク

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